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ゲンロン新芸術校第6期でのグループ展。私はグループBとして参加致します。
タイトルは「雨の降る日は天気が悪いとは思わなかった ​●1点」。

ステートメント
点取り占いで遊んだことはあるだろうか。 かつて駄菓子屋でよく見かけたものだ。店先で大量にぶら下がっている小さな四角い包み。開けると 16 枚のクジが入っており、その一枚一枚には、なんでもないような言葉が書かれている。

「よだれをふきなさい ◯5点」
「油虫におっかけられてにげました ●2点」
「君が笑えばおばけがよろこぶよ ◐4 点」

それぞれに正か負となる点数が書かれており、白丸が正、黒丸が負、半丸が持ち点により正にも負にもなる数である。すべてのクジの点数を足して 50 点を超えていたら上々、それ以下だと反省することあり、とルールは単純だ。友達と点数の多さで勝敗を賭けて遊ぶこともできる。 

明快なルールとは裏腹に、クジに書かれている数行の言葉には特段メッセージ性はない。どこからかふらっと降ってきたそれらの言葉には、ときに不意を突かれるものがある。神社のおみくじならば、言葉を与えてくれるのは神様である。だが、100 円ほどの駄菓子の向こう側には、誰の顔を思い浮かべたらいいのだろう?

われわれの日常生活も、ある意味、この点取り占いの延長線上にあるのかもしれない。 ある日突然、 偶然の出来事が訪れる。それは、クジに書かれた言葉のように、日常とは関係のない場所からやってくる。点取り占いで遊んでいたはずのこちらは、今度は偶然によって遊ばれ、自分が思い描いていた生活から段々と外れていってしまう。いつまでたっても今とは違う場所に、自分の思い描いていた生活があるような、そんな感覚にさらされながら。ある日突然降りかかったこの偶然の出来事は、いったいどこからやってきたのだろう?

点取り占いの言葉がどこからきたのかわからないように、偶然をもたらした正体を突き止めることは困難だ。 私たちは永遠に、偶然が引き起こす力に屈服することしか出来ないのだろうか。

いや、そうではないだろう。 私たちは、表現という手段をもって、偶然という捉えどころのない存在と闘うことができるはずだ。 表現活動を通じて、過去を紐解き、社会の仕組みを紐解き、人間の本能を紐解き、あらゆる方法を使って、その偶然が生まれた場所を探っていく。それは、私たちが偶然の出来事と対峙し 、屈することなく乗り越えて行くための、一つの方法ではないだろうか。

本展示において、出展作家たちは、偶然を引き起こした得体の知れない根源をあらゆる方法で追求する。 そして各々の表現を通じて、「偶然」という、全く捉えどころのない、見えない敵と立ち向かう。 葛藤の痕跡でもある作品は、日常生活で起こり得た偶然に対して下された、彼らの立場の表明でもある。 巡り合わせた偶然の力に屈することのないその行為によって、彼らは、偶然の向こう側に佇んでいる捉えどころのない存在に対し、はじめて対等な立場を勝ち取らんとするのだ。
キュレーター : 金盛郁子

出展者:安藤卓児 / 大倉なな / きんたろう / 白井正輝 / 鈴木祥平 / 田邊恵利子 / メカラウロ子
キュレーション:金盛郁子(CL課程)